診療のご案内
Medical Services乳腺外科
乳腺専門病院として、一人ひとりに合った検査を実践します。
検 査
1998年に院内独自のマンモグラフィと超音波の併用検診を導入して以来、当院は乳がん治療や診断の分野で多くの実績を積み重ねてきました。
また、2001年から画像検診車(マンモバスTM)による検診を県内で開始しました。検診事業で培ってきたノウハウを活かし、精度が高く安心して受けることができる技術をもった女性技師が検査を担当し、放射線診断専門医や乳腺専門医が正確な読影と診断を行っています。
新病院では、3Dマンモグラフィ(トモシンセシス)を新たに導入いたしました。画像の描出精度が高く、より正確な診断が可能となったことで、今まで乳腺組織と重なって判別しにくかった病変が診断できるようになりました。
また、乳腺濃度が高い高濃度乳房の方は、超音波検査との併用が有用とされています。超音波検査はしこりを調べる検査でマンモグラフィと併用することで検出率の高い検査が期待できます。当院では主に、しこりの形状や血流情報だけでなく、「硬さ」を画像化・数値化することができるシーメンス社製ハイエンド超音波画像診断装置を導入しています。
乳がんを疑う病変に対しては、通常の穿刺吸引細胞診や組織検査(CNB)以外にも、石灰化病変をターゲットしたステレオガイド下マンモトーム生検・より多くの組織を採取できる超音波ガイド下吸引式組織生検(VAB)を実施しています。
診察
患者さん一人ひとりが、治療中のQOL(生活の質)を高めることができるための専門外来を設け、他の医療機関と連携しサバイバーシップ支援に取り組んでおります。
- リンパ浮腫外来
- 乳房再建外来(形成外科)
- 治験・臨床研究
- セカンドオピニオン
- 宮崎大学遺伝カウンセリング部などと連携した、がん遺伝医療
- 宮崎県がん・生殖医療ネットワーク(MOF-net)と連携した、がん・生殖医療
その他にも、働く世代にある皆様に治療と就労を両立できるような支援を提供したり、個別のニーズに応じた診療・ケアが行えるよう努めています。
手 術
患者さんのこころとからだに負担の少ない手術を目指しています。
2024年の原発性乳がん手術症例数は431例、乳がん総手術症例数は489例でした。
放射線治療を伴う乳房温存術と乳房全切除術では、生存率や遠隔臓器への転移する可能性などの治療成績に差はありません。そのため、乳房温存術が可能な場合では、より見た目を損なわない乳房温存術を選択するケースが増えてきています。
乳房全摘術が必要な方は、乳房再建術が可能で、多職種がチームとなり、患者さんの心と身体の負担軽減に努めています。自家組織再建などの再建術は、県内のみならず県外の医療機関との連携に取り組んでおります。
また、放射線診断専門医が手術前の正確な画像診断を、病理専門医がセンチネルリンパ節生検や断端検索などの術中迅速検査を正確に行うことで、乳腺外科医ははじめて患者さんに最善の手術を行うことが出来ます。この結果、切除部位を最小限に抑え、乳房の整容性を保つことが可能となり、リンパ浮腫などの合併症も軽減できます。
このように当院では、経験豊富な乳腺外科・形成外科・病理診断科・放射線科・麻酔科の各医師がしっかりと連携し、根治性と整容性を両立できる体制が整えられています。
術前・術後治療
オーダーメイドの乳がん治療に取り組んでいます。
当院では、科学的根拠に基づく治療を基本とし、乳がんの進行度や個性、さらには患者さん個々の考え方や社会背景まで踏まえた個別化治療を提案しています。また、乳がんのタイプによっては、化学療法が不要かどうか組織の遺伝子検査を行うことも勧めております。
薬物療法
薬物療法では、病理診断科・腫瘍内科の正確な診断により、がんの性質や特徴に応じて最も効果が期待でき、なるべく不要な副作用がないような薬剤を選択しています。また日常生活を継続しながら、外来で安全かつ安心して薬物療法を受けられるように「化学療法センター」を開設しています。
がん化学療法レジメン
腫瘍内科
放射線治療
乳がんは放射線の感受性が高く、放射線治療が効果的です。新しく導入された「高精度放射線治療センター」には、より効率良くより短時間で実施が可能な放射線治療装置を導入。乳がんの術後の再発予防や症状の緩和などに大きな効果を発揮します。
転移・再発時の治療
万が一、転移・再発した場合も、さまざまな治療の選択肢があります。ほとんどの場合は、できるだけ長く生活の質を保ちながら、病気の進行を抑えることを目的として、内分泌療法、分子標的薬、化学療法などの薬物療法を主とした治療を行います。近年、使用されるようになった抗体薬物複合体や免疫チェックポイント阻害剤などの治療も積極的に行っております。
痛み等の症状がある場合は、症状の緩和を目的に手術や放射線治療を提案する場合もあります。
当院では、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)シートを用いて、患者さん一人ひとりに寄り添った緩和ケアをめざし取り組んでおります。また乳がん看護認定看護師や緩和ケア認定看護師、ソーシャルワーカーなど多職種が協働し、患者さんのご希望に沿う治療・療養環境を整えるお手伝いをいたします。